絶対的な春の風物詩の桜が散る頃、愛犬家の春の風物詩といえば「狂犬病予防接種」である。
3月の中頃になると、狂犬病の予防接種行ってくださいね〜という案内の封筒が来るんだけど…
これ、なんとかならないのかなぁ?
行ってくださいねと言われても、予防接種が始まるのは4月からなのだ。
忘れそうで怖い。
なんなら4月の上旬に届いて「今すぐ行って!」と言われた方が気が楽なんだけど。
小心者、心配性なぽんとしては、あまり「いついつまでにこれしてくださいね」系のものを抱えたくないのだ。
だから毎年4月の割と早い時期にシリカを動物病院に連れて行く。
シリカは軽いアトピーがあるので、一時期毎週のように病院に通っていた。
今は毎週アトピー用のシャンプーをしているので、病院に行くのは久しぶりだ。
いつものようにルンルン気分で散歩を楽しむシリカ。
だが、動物病院に入った瞬間にガタガタ震えだす。
うーん……察しが悪い。
動物病院が苦手な子は病院に近づいた段階から嫌がるのに、シリカは何故か入るまで普通の散歩だと思っているようなのである。
別に普段の散歩コースでもないのに。
完全にケータイのバイブレーションのように震えて舌を出しながら生あくびばかりしている。
普段の偉そうな態度と大違いなので、可哀想にと思いながらも密かにザマーミロと思ってしまう。
レアなバイブシリカを見てニヤニヤしながら「大丈夫よ〜」「いい子ね〜」とか言いながら順番を待つのが大体いつもの流れである。
やがて看護師さんと「今回シリカちゃんどうされましたか?」
「あ。狂犬病の予防接種とフィラリア予防の薬、あとシャンプーください」
なんて会話をする。
狂犬病の予防接種は法律で決まっているので絶対受けさせないといけない。
フィラリア予防は絶対ではないけど、調べれば調べるほど怖くなるので、毎年このタイミングで薬をもらいに行く。
蚊が媒介する病気なので、暖かくなるこの頃がちょうどいいのだ。
ただ、狂犬病もフィラリアも「予防」なので保険が効かない。
それでもシリカのために高い薬代を払うのだ。
あと、シリカはフィラリア予防薬(お肉の風味がついている)をレアなおやつと思っているらしく、とても喜んで食べる。
ちなみにそんな犬周りで聞いたことない。
病院イヤイヤのバイブシリカの番がきて、診察台に載せられると尻尾がすーっと下がる。
看護師さんに保定されてじっと助けを求める目をこちらに向けてくるが、注射されても吠えたり暴れたりはしない。
以前、体温の測定のためにお尻に体温計を入れられた時だけキャンと吠えていたけれど、基本的に反抗せず大人しくしていてくれる。
まぁ、普通に苦手なんだろうけど。
今年も無事に法の求めに従った満足感を感じながら、待合に戻る。
シリカはよく頑張った。あとでおやつをあげよう。
ここからは飼い主に試練が与えられる。
「狂犬病の注射とフィラリア予防の薬、あとアトピー用のシャンプーとで、お会計3万2千円です」
……3万……
飼い主にとっては痛い風物詩なのだ。
コメント